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巻頭言・特別投稿
 「ラグビーの思い出」雑感
校長 川口 征雄
2003年3月29日、北上から宮古高校校長住宅に女房と共に引っ越してきた。荷を下ろし始めてからしばらくして、鈴木淳一先生が率いるキャプテン始めラグビー部の面々4人が手伝いに来てくれた。荷下ろしはほとんど終わりに近かったが、皆さんの心意気が大変嬉しかった。“ありがとう”。宮高生との初めての対面であったが、みんな明るい浜っ子たちであった。20数年前の宮古高校生と変わらないものを感じ、親しみが沸いてきたのだった。宮古高校・ラグビーというと私の脳裏にすぐに思い浮かぶことは、3Hの正担任していた“宮高オリンピア”でのできごとである。今年度のオリンピア開会式での挨拶でも少々話しをしたが、昭和51年当時はオリンピアの種目にラグビー競技があり、河原グランドでの決勝戦、雨上がりのぬかるみでの3年生同士の戦いとなり、ボールは思うように転がらず全身が泥の状態、是非とも優勝したいという気持ちとクラスメイト全員の大声援、クラスが一つにまとまり燃えに燃えて逆転優勝となった。その時の感激はまるで天下を制したようであった。その後がまずかった。

担任である私を胴上げしようとして駆け寄ってきた。私は条件反射的に逃げようとして駆け出したが地面はぬかるみで足を取られ泥の中に・・・・・。背広姿は泥まみれとなり、追いかけてきた生徒の泥の手の中での胴上げとなった。しかし、生まれて初めての胴上げをしてもらい内心は嬉しさが込み上げて、生徒とのふれあいに満足感を得た瞬間であった。このことが、今では45才・46才の優しい母親?逞しい父親?となっている当時の生徒達からの歓迎会の中で、思い出話の一つとして盛り上がった。生徒たちにも印象に残っていた一場面であったようだ。

次にラグビーというと思い出されるのは、「北の鉄人」----北:凍てつく寒さの中での温かな人情、海や土のにおいがする人間像・チームイメージ。鉄人:強い意志、徹する意欲と作り上げる力がこもっていた----と称された新日鐵釜石の7連勝の頃で、毎年1月15日の決勝戦には欠かさずテレビで観戦し(欠かさず国立競技場で応援した同僚もいたが)、夢中になって応援していたものだった。当時勤務していた大槌高校で、松尾雄二監督兼プレーヤーを招いて講演会を開催し、直接話を聞く機会を得たことがあった。生徒たちからの大拍手もおこった。ラガーマンにしてはスマートな体つきで、精悍な顔をしていたのが印象的であった。その時の話の中で今も残っている言葉がある。それは、「各自仕事を持っているので、全員での練習はなかなかできない。だから、選手1人1人が自分のポジションの練習をまず各自でこなして、他人には迷惑をかけないこと。試合に臨めるだけの力を身につける事が大事である。その上に立ってチームワークが必要なのである。」というような言葉であった。当時、有名ラグビー部大学出身者の多いチームが揃っていたなかで新日鉄釜石は東北の高校出身選手が多く、かつ、仕事を持ちながら7連覇するにはそれなりの努力があったのだろう。その後、神戸製鋼ラグビー部で活躍した、平尾誠二さんも「自覚の無い自主性は、単なるチャランポランに過ぎない」とやはり同じような言葉を言っていたが、ラグビーの試合では、メンバーがそれぞれ勝手な判断だけでプレーするとしたら、フォーメーションは崩れ、ボールをコントロールする事ができなくなってしまうはずだ。だから、自分が果たさなければならない義務は何なのかを知って、プレーする事が求められ、チームワークが必要となるのだ。この事はラグビーに限らず、他の団体競技にも絶対条件となるものではないかと思っている。

今年度の諸君のプレーにも良い思い出ができた。5月の秋田工業高校との招待試合が諸君の試合を見た最初であった。青々とした芝生が敷き詰められた老木グラウンドでの溌刺としたさわやかのプレーには、敗れはしたもののすがすがしさがあった。ここでの教訓がその後の試合に大きく生かされていったのではないか。10月の全日本高校ラグビー選手権大会県大会では、盛岡南公園球技場での決勝戦、対盛岡工業高校戦、全校応援の中、終了間際の誰もがこのままで終わるかと思ったときの頭脳的なプレーには驚かされた。後半、押し気味の攻撃で点差を縮めていっただけに、ノーサイドの笛には非常に悔しく残念であった(県大会優勝歓迎式とパレードの準備をひそかに教頭としていたのだった)。しかし、諸君は普段の朝学習に始まり7時間授業をきちんと受けた後の短い練習時間にもかかわらず、県制覇をするだけの実力を備えている事は、まさに“文武両道”“高校生の中の高校生”と言えるのではないかと思っている。特に3年生は日々の受験勉強をしながらの練習であり、高校時代の最後の試合で、後輩へ素晴らしい贈り物を残してくれたくれたのだと思っている。試合後は次なる大きな目標に向かって歩み始めた事と思うが、これまでに培った“ラガー精神”で、自分の前に立ちはだかる大きな壁を破り、困難を切り抜けて、逞しく前進して行って欲しい。1・2年生諸君は、先輩が残した貴重な財産の上に、日夜練習に励み、来年度は必ずや3回目の花園出場を果たしてくれる事を願っている。

私も諸君と共に花園に行く事を今から楽しみにしている。

今後の諸君の健闘を!! 頑張れ!!

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