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巻頭言・特別投稿
 「河原グランド」に寄せて
校長 米澤 俊英

 本校ラグビー部の会報といっていい「河原グランド」が今年も発刊のはこびとなりましたことを関係者の一人として、大変喜ばしく思っております。ラグビー部の諸君、父母会の皆様、そして本校ラグビー部に関係する皆様方とともに喜び合いたいと存じます。
 今年度のラグビー部の活動を振り返ってみた時、最も印象に残っている、10月20日の決勝戦(対盛工戦)を観戦して感じたところを述べて、「河原グランド」に寄せる言葉に替えたいと思います。
 一つ。普段から先生方や生徒諸君に対して「プロスポーツの世界では結果、数字が全てである。高校のスポーツにおいても結果が大切であることを否定しないが、私は敢えて結果を問うものではない。大切なことは結果に至るまでに、自分あるいは自分達チームが何をどのように取り組んできたかという過程そのものにあるのだ。」と云い続けてきた私にとっても、敗戦という結果は誠に残念であった。特に前半30分の本校のディフェンスは素晴らしく「これぞラグビー」という試合内容であっただけに惜しいことこの上ないものであった。試合終了後、ロッカーで号泣している選手諸君の胸中を思う時、悲しく辛い思いをどうすることもできなかった。
 決勝戦を観戦していた本県の高校ラグビー関係者からは「いやー、校長さん本当に素晴らしい試合でした。」と称賛されたが、この時ばかりは「スポーツにおいては結果が全てなのだ。」という思いが脳裏をよぎった。しかし、敗れたにも拘わらず応援にかけつけた多くの方々から「宮高、よくぞ頑張った。」という声を聞いた。その声は「結果よりも今日までのラグビー部諸君の努力、精進の過程そのもの」に対する賛辞であるように私には思われた。我が意を一層強くしてグランドを去ることができたのは私にとっても有難いことであった。
 二つ。昨年6月のサッカーワールドカップにおいて優勝候補にもあげられていたアルゼンチンが予選リーグで敗退した時、同国のストライカーが語った「10年間の代表選手生活で一番悲しく、辛い時間だ。しかし、これがサッカー、これが人生だ。」という言葉が思いおこされた。10月20日の試合はワールドクラスの大会でもなく、また全国クラスのそれでもなく、たかが岩手県という一地方の、しかも高校生の決勝戦に過ぎないものであったが、選手諸君や関係者にとってはあの試合こそ、「世界大会」であり、世界そのものであったのだと思う。
 「3年間のラグビー部生活で一番悲しく、辛い時間だ。しかし、これがラグビー、これが人生だ。」というセリフを3年生の部員の一人がはいてもおかしくない決勝戦であった。3年生の部員諸君には、辛いことであるがあの結果をそれぞれ咀嚼、整理し、受け入れ、そして新たな一歩を踏み出して欲しいと切に願うほかなかった。それが人生であり、また一度や二度の失敗、挫折で人生が終わるわけではないと思うからである。
 その後の部員の様子については、各々一歩二歩と前に歩み出しているということを顧問から聞き、「さすが宮高生」という思いを強くしている。これからの人生を考える時、目には見えないけれども、何か貴重なものを部員諸君は手にしたのではなかろうかと思う。是非、今後に生かして欲しいものである。
 三つ。この手づくりの会報には、河原グランドという舞台をともにした恩師の、汗と涙をともにした仲間の、そして父母の熱い思いや願いが綴られている。各々の人にとって忘れ得ない時間の1ページといっていいと私は思う。卒業後もことある毎に、この「河原グランド」をひもとき、自分を奮いたたせて欲しい。
 最後に選手諸君の健斗に心から拍手を送るとともに、ラグビー部の大いなる飛躍と発展を祈念しております。

 
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